まめちしきvol.18「食べられるのが天ぷら、食べられないのがテンペラ」

「搭と薔薇の記憶」
作家:細迫諭
技法:テンペラと油彩の混合技法

天ぷらもテンペラも同じ語源ではないかと言われている

皆さま大みそかにお蕎麦は召し上がりますか?その時、おそばの上に乗っけるもの・・・・
もうお分かりですよね。天ぷらです。年越しそばに天ぷらが乗っていると、それだけで1年間頑張ってきて良かったという気分になりますよね (大袈裟?)。

天ぷらの語源はご存知でしょうか。ラテン語のtemperareは調理するという意味で、どうもそのラテン語を元とするポルトガル語temperoから来てるのではと言われています。

前置きが長くなりました。西洋画では長らく使われていた技法にテンペラ画というものがあります。
顔料を卵と混ぜて絵具にする、つまり卵の油分を利用して支持体(板とかキャンバスとか絵が描かれるもの)に定着させる技法でダヴィンチやボッティチェリも使っていました。

テンペラ絵具は描いているときは水性なのですが、乾くと油性になって安定します。油絵具とはまた異なり油膜で覆われていないので、明るい発色をするのが魅力の1つです。深みを出したい箇所は油絵具を併用することも多く、それを混合技法と言います。

油絵具のようにチューブで販売しておらず、都度、卵と混ぜて使うテンペラはこのように大変な手間のいる技法なので、テンペラ画を描く現代のアーティストは、こだわりを持った方が多いですね。

さて、冒頭の天ぷらの話とテンペラがつながるのはなぜかって?
テンペラも同じ語源ではないかと言われているからです。
調理するという言葉のtemperareは、粉と液体を混ぜるという意味があるのではと言われています。
絵具と食べ物が同じ語源というのも、ちょっと面白いですね。

ライター・晶

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