長沼 慧

Kei Naganuma


鍼灸師として世界一周するクルーズ船に乗船し、その後画家に転じている異色の経歴の画家です。

 

雲母壁面画(きらへきめんが)という独自の技法を使い『楽園』をテーマに作品を描いていています。

船の中で見た天の川やトルコの港で見たターコイズブルーの海、冬の寒空の中温泉に入りながら見た富士山、春の薔薇園、美しい景色やものを見ると時間が止まったような感覚になります。彼女はそれを"一瞬の中の永遠"と表現しておりまして、一瞬の中の永遠を感じられるような作品を目差し作品づくりを目指しております。安らぎと平和が約束された世界に住む動物と花々の楽園をご堪能ください。

 

これまでには、2016年にアールデビュタント2016年で伊勢丹浦和店で画家デビューを果たし福屋八丁堀本店、阪神梅田本店、東急百貨店たまプラーザ、伊勢丹立川店など全国各地の百貨店でグループ展に出品。2022年9月には自身がデビューした伊勢丹浦和店で個展開催。


 

何事も無駄な経験はないという言葉がありますが、長沼慧さんこそその言葉通りの画家人生です。彼女はまだ十代の頃、画家になることを一度諦めて鍼灸師への道を進みました。学校で勉強して晴れて免許を取り、人々を癒す仕事をスタートしました。彼女の掌は温かく、指先の力はしっかりとすーっと受術者の患部に入り込む、そのような力を有しておりました。

 

ある日、世界一周を回る船の上で人々を癒す仕事をしないかとスカウトされ、若い彼女は希望に満ちて船中の人となりました。クルーズ船のなかの施術室の仕事です。今日と明日は違う海にいる、港々の風景は異なり、出帆のときの喜びと哀愁に満ちた雰囲気、様々な人種との関わり。20代の彼女にとって狭い日本から飛び出して多様な価値観に触れることは「本質とはなにか」を追求するうえで又とない経験だったことでしょう。

 

元々人とは違うところのある少女だったと言います。子供の頃病弱で人と同じことが出来なかったからこそ、何が人にとって一番大切なのか、という生きることの本質を考え続けました。

彼女はぶれません。まやかしや見せかけの価値観には騙されない、真実を見る「眼」があります。

 

世界一周の旅は、彼女に鍼灸の仕事を捨て、画家という道を選ばせるという運命を授けました。

鍼灸師が癒せるのはその時の一人だけです。しかし画家は作品の力で同時に何人でも、そしていつまでも人の魂を癒すことができます。彼女が選んだ特長的な画材である雲母は、人々に力を与えてくれるパワーストーンでもあります。

 

その雲母を用いて創り出される世界観は、人がこの世に生まれてきたことの意味を語っているように思えます。

年を取ればとるほど、その本質に気が付き彼女の絵の凄さが分かるのかもしれないと思います。(岡村)

 

 

There is a saying that nothing is a wasted experience, and Toshi Naganuma's life as a painter is just like that saying. When she was still in her teens, she gave up the idea of becoming a painter and became an acupuncturist. She studied at school, obtained her license, and began her career healing people. Her palms were warm and her fingertips had such power to firmly and smoothly enter the affected area of the recipient.

 

One day, she was recruited to work on a ship traveling around the world healing people, and she became a hopeful young woman. I work in a treatment room on a cruise ship. For a young woman in her twenties, being on a different sea today and tomorrow, seeing the different scenery at each port, the joyous and melancholy atmosphere at the time of setting sail, and interacting with people of different races, it was a unique experience for her to be out of her narrow Japanese environment and to be exposed to diverse values in her pursuit of "what is the true essence.

 

She says that she was originally a girl who was different from others. Because she was sickly as a child and could not do the same things as others, she kept thinking about the essence of life, what is the most important thing for people.

 

She never wavers. She has "eyes" that see the truth and is not fooled by deceit or pretense.

 

Her round-the-world trip has given her the destiny to abandon her career in acupuncture and moxibustion and choose the path of a painter.

 

An acupuncturist can only heal one person at a time. A painter, however, can heal the souls of any number of people at the same time and for any length of time through the power of her work. Mica, her chosen material for painting, is also a power stone that gives people strength.

 

The worldview created with mica seems to speak of the meaning of one's birth into this world.

 

I think that the older we get, the more we may realize the essence of it and understand the greatness of her paintings.

 

Okamura

 

 


「眠れる獅子」雲母壁面画 F6号
「眠れる獅子」雲母壁面画 F6号

「眩耀孔雀図」雲母壁面画 SM号
「眩耀孔雀図」雲母壁面画 SM号
「まほろば」雲母壁面画 F3号
「まほろば」雲母壁面画 F3号

「天満月 めぐりあい」雲母壁面画 F4号
「天満月 めぐりあい」雲母壁面画 F4号
「天満月」雲母壁面画 SM号
「天満月」雲母壁面画 SM号

「月光下のロマンス」雲母壁面画 SM号
「月光下のロマンス」雲母壁面画 SM号
「月夜とクイーンの塔」雲母壁面画 SM号
「月夜とクイーンの塔」雲母壁面画 SM号


長沼慧 オンライン展覧会

Kei Naganuma  Exhibition  only on website



2020年個展


Profile

長沼 慧 Kei Naganuma

 

1990年 神奈川県川崎市生まれ

 

2012年 日本工学院八王子専門学校

 

アールデビュタントURAWA2016(伊勢丹浦和)   

 

第四回 MVW展(福屋八丁堀本店)   

 

ゆく年くる絵師 展(阪神百貨店梅田本店)

 

2017年   東急田園都市線27駅の絵画展(東急百貨店たまプラーザ)             

 

桃花展(福屋八丁堀本店)             

 

第2回 平成動物図鑑(伊勢丹浦和店)           

 

平成動物図鑑Ⅲ(伊勢丹府中店)           

 

第5回MVW (福屋八丁堀本店)

 

2018年 平成動物図鑑Ⅳ(阪神梅田本店)           

 

第6回MVW (福屋八丁堀本店)

 

2019年   第2回特別常設展(GALERIE青鞜)    

 

個展(南青山)     

 

新緑のアートフェア(新宿ヒルトピア)         

 

アート関ヶ原(阪神百貨店梅田本店)               

 

桃花展(福屋八丁堀本店)   

 

EGC展(阪神百貨店梅田本店)    

 

EGCセレクト展(横浜山手ギャラリー)           

 

猫展常設展(阪神百貨店梅田本店)

 

2020年 EGC展(福屋八丁堀本店) 

 

SPECIAL EXHIBISION ONLINE(福福堂HP)     

 

EGC展(新宿ヒルトピアアートスクエア)     

 

個展(新宿ヒルトピアアートスクエア)     

 

大猫展(新宿ヒルトピアアートスクエア)   

 

EGC展(阪神百貨店梅田本店)           

 

ネオナイーブ展(伊勢丹浦和)

 

2021年    

 

大EGC展(新宿ヒルトピアアートスクエア)

 

新鋭作家三人展(伊勢丹立川店)

 

オンライン展覧会(福福堂)

 

EGC展(阪神百貨店梅田本店)

 

EGC展(福屋八丁堀本店)

 

秋月展(横浜山手ギャラリー)

 

大EGC展(ヒルトピアアートスクエア)

 

EGCセレクト展(阪神百貨店梅田本店)

 

Next Generations展(福屋広島駅前店)

 

他多数

 


雲母壁面画

●雲母壁面画について 

雲母壁面画(きらへきめんが)は板に漆喰状の土台を作り鉱物をブレンドした絵の具を滲みませて色を重ねていく、独自の技法です。作品に煌めきを出すために、試行錯誤して作り上げた、唯一無二の描き方です。

 

江戸時代に役者絵や美人絵などの背景に雲母を刷り込んだ雲母絵から発想を得ました。作品により雲母の他「チタン」や「箔」も組み合わせるなど独自の作品を追求しております。

雲母壁面画は伝統にとらわれず現在の画材を使い、西洋的でも和的でもある変幻自在の表現技法です。日本画の平面的な線と洋画の立体的な表現を織り交ぜ和と洋を一緒に画面に描くなど、アートの新しい表現を目指しています。

 

船の中で見た天の川やトルコの港で見たターコイズブルーの海、冬の寒空の中温泉に入りながら見た富士山、春の薔薇園、美しい景色やものを見ると時間が止まったような感覚になります。私はそれを"一瞬の中の永遠"と表現しています。私は作品の中に一瞬の永遠を感じられる作品を目指して制作しております。 

 

●雲母壁面画が誕生するまで

雲母壁面画は江戸時代に役者絵や美人絵などの背景に雲母を刷り込んだ雲母絵から発想を得た描き方です。

実はこの描き方になるまで、油絵からアクリル画を使うようになり、アクリル画の中でも試行錯誤を繰り返し雲母を使った今の独自の描き方ができました。

通常色んな描き方を採り入れた技法を今は「ミクストメディア」という言い方をします。

こちらの方がメジャーですし聞きなれた言葉ではありますが、私は自分が工夫を重ねてできた技法に愛着があり名前を付けることにいたしました。

こうして雲母を使っているということと壁画の様な絵肌ということで「雲母壁面画」という技法が誕生いたしました。

 

●雲母壁面画の今後 

一からつくりあげたこの技法を最近では金箔を使ったり、偏光顔料を組み合わせたり、岩絵の具を使ったりとその中でも進化の過程にいます。

日々の生活の中でも変わっていくように、描き続けることで絵柄や技法、テーマやモチーフもバラエティ豊かなものへと変わっていくのだと思います。

一人の画家として今後生み出していく作品を楽しんでいただけたら幸いです。