雅未花とアミーカ(モチーフについて)

「ほしいままにする」テンペラ・箔 165x93mm
「ほしいままにする」テンペラ・箔 165x93mm

井上雅未花は子供の頃から犬や小さい生きものたちと共に生活をしていました。彼らと共に過ごすうち、いつしか彼女は命あるものたち(動物たち)への愛情と共に、彼らに「畏敬の念」を抱くようになったそうです。

 

従来イコンや祭壇画のモチーフたりえるものはキリストや聖母マリア等キリスト教の信仰の対象や教宣のためのものでしたが、井上雅未花はその祭壇画の形式を借りて”いのち”を描きます。

 

それは古来から万物に精霊宿り八百万の神を尊ぶ日本人ならではの感性と必ずしも無関係ではないかもしれません。山や海、太陽や大きな岩でさえも信仰の対象になる、使い古しの道具にも神は宿り、祟りを及ぼすものでさえも畏怖の念で崇め奉りいつしか味方にしてしまう・・・そのような懐の深さを持つ日本人の感性により、身の周りの動物はただ可愛いという存在ではなく、神秘の光を湛える金を施した祭壇画の様式で表現したくなる・・・そのような対象たりえるのではないかと思います。


誰が見ていなくても「お天道様が見ている」という考え方、そして命は輪廻転生していくという概念に慣れ親しんでいること、「一寸の虫にも五分の魂」と子供の頃から教わること・・・これらは皆、根っこのところでつながっているものだと思います。

 

そして動物を始め生きとし生けるもの全てに対して畏敬の念と親愛の情を抱くのは、井上雅未花の名前アミカがラテン語のアミーカ(友人)と同じことなのも決して偶然ではないかもしれません・・・・ね。