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過去の自分が電話してるのを聞いた話。

 

最近迷いが多く思考停止状態になっているので、気分転換に昔あったちょっと怖い話を書きます。

 

南麻布の今は無きボロマンションで、一人暮らしをしていたときのこと。

 

当時激務だった会社に勤めていた私は、貴重な週末の休みに変な時間に昼寝してしまっていたが、電話の音で目が覚めた。

部屋はもう暗く冷え切っていてカーテンは開けっ放し。大きな曇りガラスの窓越しに外の灯りが差し込んできていた。

 

電話に出ると、女性が一方的に喋ってる。

「もしもし」私は応答するが、一行に相手には聞こえないみたい。

よく聞くと電話の相手は一人ではないことに気が付いた。

 

女性と女性が電話していて混線している・・?

 

「もしもし、もしもし」

私は半分寝ぼけながら話すけれど、二人には聞こえてない。

 

そのうち彼女たちが会話している内容が分かってきた。

どうやら会計の検定試験によくある問題である、決算整理後試算表から決算整理前試算表を作るための「逆進」と呼ばれる手法について話し合っているようだった。

ちょっとマニアック。

 

聞いているうちに全身の毛が逆立つような恐怖を感じた。

話をしているうちの一人は、どうやら私のようだ。。。。

しかも10年くらい前の私。

 

学生時代に友達と電話した会話が、今ここで再現されている。

「もしもし、もしもし!」

電話に割り込んだってどうすることもできないけれど、もう一度叫んだ。

が、やはり相手には聞こえていない。

 

なす術もなく電話を切った私は、ぐっしょりと汗をかいていた。

 

当時は私生活で辛いことが多く仕事も厳しい中だったので、よほど疲れてしまっていたのか・・・・今はこんなことはないけれど、今でも不可解な思い出です。