【神奈川】女性の理想や葛藤を銅版画に 滋賀のyuiさん、あすから横浜で個展
女性の理想や葛藤を描いた、滋賀県彦根市在住の銅版画家yui(ユイ)さん(29)の個展「錆(さび)色の森」が三日から、横浜市中区元町の画廊「フジムラコンテンポラリーアート」で開かれる。「見た人の記憶を呼び起こすような作品にした」と語る。二十六日まで。
展示するのは、三年半前に構想を始めた新作十点。羊水をイメージした液体に浮かぶ女性やクモに捕らわれたチョウ、背中に生えた羽を手で広げる女性などをモチーフに、少女が一人の女性に成長する際の心や体の変化、恐れや喜びを象徴的に描く。
厚さ一ミリの銅板に細い針で輪郭を描き、腐食液で表面を少しずつ溶かして背景などの繊細なグラデーションを表現。大津市で作られた生成りの和紙をキャンバスにノスタルジックな風合いに仕上げた。
北九州市出身。茨城県の筑波大芸術専門学群で学び、二〇一〇年に卒業後は全国各地で個展やグループ展を開いてきた。妊娠・出産も経験し、現在は二児を育てながら創作する。
「画家として何かメッセージを伝えなくては、という使命感を捨てた」と話す。背伸びするのではなく、自分が経験・消化して身になった身近なことを描こうと思い始めたのだという。その上で「女性も男性も、自分の経験と重ね合わせて共感してほしい」と呼び掛ける。
会場には各作品の原版である銅版十枚も並べた。入場無料。月、火曜は休館(二十日は開館、二十二日が振り替えで休館)。正午から午後六時まで。問い合わせは同画廊=電045(641)3070=へ。 (加藤豊大)
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